・インクラインダンベルカールの注意点
・インクラインダンベルカールのコツ
・インクラインダンベルカールのメニュー組み入れ方
腕の力こぶを構成している筋肉である上腕二頭筋を鍛える種目として、インクラインダンベルカールは非常に効果の高いトレーニングです。
そこでこの記事ではインクラインダンベルカールの正しいやり方やコツについて徹底的に深堀して解説していきます。
おそらくネット記事の中でここまで詳しく解説している記事は他にないと断言できます。
まず最初に私の自己紹介すると
図解でダイエット知識を学べるインスタ(https://www.instagram.com/masaki_growyourself)
という感じで、大手ジムのトレーナーとして活躍し、現在はフリーのパーソナルトレーナーとして活動しています。
これまでインクラインダンベルカールについて考え実験し検証してきた時間は、誰にも負けない自信があります。
インクラインダンベルカールを正しい方法で行なって、腕を太く強くしていきたい人はぜひ最後までご覧ください!
目次
インクラインダンベルカールとは?鍛えられる筋肉
インクラインダンベルカールは名前の通り、インクライン(ベンチ台を斜めに設定)した状態で行うダンベルカールです。
鍛えられる筋肉は次の通り。
・上腕筋
上腕二頭筋と上腕筋を鍛えることで、腕を太くする効果があります。
インクラインダンベルカールを行う前に、まずは上記の筋肉の働きを把握しておきましょう。
起始 | 停止 | 作用 | |
---|---|---|---|
上腕二頭筋(短頭&長頭) | 短頭:烏口突起 長頭:肩甲骨の関節上結節 | 橈骨粗面と上腕二頭筋腱膜 | 肘関節の屈曲 前腕の回外 肩関節の屈曲補助 |
上腕筋 | 上腕骨中部前面 | 尺骨の鈎状突起 | 肘関節の屈曲 |
少し難しいと思うので分かりやすい図で説明します。
MASAKI
なぜインクラインで行うのか?
筋トレを始めたばかりの方であれば次のような疑問を抱くと思います。
筋トレ初心者
この答えは「ストレッチポジションで強い刺激がかかるから」です。
筋トレ初心者
MASAKI
インクラインダンベルカールは筋肉が伸びた状態(ストレッチポジション)で行う種目で、通常のダンベルカールと鍛える部位が同じでも、与えられる刺激には若干違いがあります。
上腕二頭筋の働きには肘関節の屈曲と肩関節の屈曲補助があり、この反対の動きを行うと筋肉を伸ばすことができます。
つまり、肩関節が進展した状態(インクラインダンベルカールで腕を下ろした状態)だと、上腕二頭筋がストレッチするということです。
筋トレ初心者
ストレッチ種目の効果
・筋肉に物理的刺激が加わりやすく筋肥大効果が高い
・筋肉の成長に関わるIGF-1やMGFの分泌を促す
つまり、上腕二頭筋を効果的に刺激するには、通常のダンベルカールやバーベルカールにプラスして、ストレッチ種目のインクラインダンベルカール、収縮時に刺激が強いコントラクト種目(プリチャーカールなど)を行うようにしましょう。
→ダンベルカールの効果的なやり方や重量・座って動作する違いを徹底解説
ダンベルカールの効果的なやり方や重量・座って動作する違いを徹底解説筋トレ初心者
MASAKI
POF(ポジション・オブ・フレクション)についてより詳しく知りたい人は以下の記事を合わせてご覧ください。
「POF内部リンク」
インクラインダンベルカールの正しいやり方
ではインクラインダンベルカールの正しいやり方を解説していきます。
非常に細かい部分まで徹底的に解説するので「そこまで考えるの??」と感じるかもしれませんが、細部まで意識して鍛えることで、より高い効果が期待できるので、ぜひ頑張ってもらいたいと思います。
意識する部分は次の項目に分けて説明していきます。
- ベンチの角度
- 座り方
- ダンベルの握り方
- 目線
- 基本フォーム
MASAKI
ベンチの角度
まずベンチ台の角度は45°〜60°の範囲でセッティングします。
角度を浅くすればするほど上腕二頭筋がストレッチされて効果が高いと勘違いしがちですが、実際には筋肉に対しての負荷は弱くなり、肩関節を痛める可能性があるので、45°以下はおすすめできません。
肩関節の柔軟性が低い人や肩に痛みがある人は、60°ほどで行いましょう。
角度を上げたとしても、肩関節が体側面より進展した状態を作ることができれば十分効果があるので安心してください!
ベンチの角度は45°〜60°
座り方
座り方もとても大切です。
左のように脚をガバっと開いて少し上体が仰け反ったような姿勢で座ってしまう人がいますが、体の連動性の観点から、足は床に着けず股関節を屈曲させた状態で膝を閉じて座ります。
意識的に膝を閉じておくことで、太もも内側の内転筋が働き、連動して腹筋に力が入りやすくなります。
腹筋に力が入ると肋骨が開いてしまうことを防ぎ、上腕二頭筋が収縮しやすくなります。
膝を閉じて股関節が屈曲した状態を作る
ダンベルの握り方
ダンベルの握り方は、指先ではなく手のひらで包み込むように五指全てでしっかりと握ります。
こうすることで手首が反りにくくなり、刺激が前腕に逃げてしまうことなく上腕二頭筋に重さを乗せることができます。
また、画像のように親指を巻き込んで握るサムアラウンドグリップで行いましょう。
サムレスグリップでも動作できますが、手首が反りやすくなりメリットがないので行いません。
手首については上記の画像のように、手のひら側ではなく手の甲側を真っ直ぐに維持して動作します。
この握り方は上腕二頭筋を鍛える基本となるので覚えておきましょう!
MASAKI
手のひらで包み込むように握る
手首の甲側が真っ直ぐになるように維持する
目線
目線??と思うかもしれませんが、どのトレーニング種目でも共通して需要な要素です。
インクラインダンベルカールなど上腕二頭筋の種目では、基本的に目線を正面で顎を引くようにします。
目線を正面に向けることで、顎を引いた状態になり、腹筋に力が入りやすく上腕二頭筋が収縮しやすくなります。
反対にシートに完全に仰向けになる形で、目線を上げてしまうと、体が仰け反りやすくなり、上腕二頭筋が収縮しづらくなります。
握り方と同様に、上腕二頭筋を鍛える基本となるので覚えておきましょう。
目線は正面で顎を引く
頚反射を活用したトレーニングについては以下の記事を合わせてご覧ください。
「頚反射内部リンク」
基本フォーム
ここまででインクラインダンベルカールを正しいフォームで行う準備が整ったので、後は自然にカール動作を行うだけになります。
あえて細かく解説した理由としては、筋トレ初心者こそ細部に気を配ることで、自然に効くフォームで行えるからです。
では、カール動作時に意識するポイントは次の通りです。
・正しい姿勢を維持して動作する
・フルレンジで行う
これだけです!
肘が前後に動いてしまったり、動作を始める前に作った姿勢を崩すことのないように、ストレッチと収縮をしっかり感じれるようにフルレンジで行います。
インクラインダンベルカールの使用重量や回数
インクラインダンベルカールの使用重量は、初心者であれば10回〜12回、中上級者であれば8回〜10回行える重量を選択します。
物理的刺激が加わりやすく、筋肥大効果の高い種目なので、基本的には中重量・中回数で行います。
初心者の定義づけは難しいですが、フォームが安定していない人は10回〜12回目安で行うと良いでしょう。
インクラインダンベルカールの注意点
インクラインダンベルカールの効果を下げないために、注意すべき点は次の通りです。
・ストレッチ感を得るまで肘を伸ばす
しっかりと握り込める重量を選択する
無理に高重量を選択すると、ダンベルをしっかりと握り込むことができず、回数を重ねる内に指先で引っ掛けるように持つだけになります。
握り方の項目で解説した通り、指先で握ってしまうと手首が反りやすくなり刺激が前腕に逃げてしまいます。
また、ダンベルをカールして力こぶをグッと作った収縮ポジションで、ダンベルを強く握り込むと収縮感が強くなります。
しっかりと握り込めてコントロール出来る重量を選択してみてください!
しっかり握り込める重量を選択する
ストレッチ感を得るまで肘を伸ばす
インクラインダンベルカールはストレッチ種目なので、しっかりと腕を伸ばしてストレッチ感を得ることが大切です。
回数を多くこなそうとする人に多いのですが、しっかり下げる前に次の動作に入ってしまって、動作範囲が狭くなっている場合があります。
解説した正しいフォームで行い、インクラインダンベルカールの目的であるストレッチ感を得るように行いましょう!
ひとつだけ注意点として、肘を完全に伸ばして脱力してしまうと、関節を痛める可能性があることや、上腕二頭筋から刺激が抜けてしまうので、二頭に力が入っている状態で最大限伸ばせるとこまで伸ばしましょう!
MASAKI
ストレッチ感を得るまでしっかり下げる
インクラインダンベルカールの効果を高めるコツ
ちょっとマニアックになりますが、インクラインダンベルカールの効果をより高めたい人向けに、コツを紹介します。
・ダンベルの回内外
・神経支配
まず目線の項目で軽く解説した頚反射を活用することで、収縮感とストレッチ感をわずかに高めることができます。
画像のように収縮局面では目線を下げて顎を引き、ストレッチ局面では軽く顎を上げます。
頚反射は身体の姿勢や平衡保持のための反射の一つで、顎を引くと腕が屈曲しやすくなり、顎を上げると腕が進展しやすくなります。
次に上腕二頭筋の特徴として、収縮局面で手首を回外(外向きに回す)することで強く収縮します。
ダンベルを下ろしている時は逆ハの字になるように構えて、ダンベルを持ち上げるに従って、手首を回外し上腕二頭筋を強く収縮させます。
インクラインダンベルカールでは短頭と長頭を両方とも刺激できますが、親指と人差し指側に力を入れるか、小指薬指側に力を入れるかによって刺激を変化させられます。
短頭に効かせたい場合は、小指薬指側を強く握り、長頭に効かせたい場合は親指人差し指側に力を入れます。
これはほんの少しだけ力の配分を変えるだけで違いを感じることができるので、指を外す必要はありません。
インクラインダンベルカールのメニュー組み入れ例
インクラインダンベルカールをメニューに組み入れる場合は上記の流れがおすすめです。
腕だけを鍛える日と胸や背中と合わせて鍛える日どちらでも、基本的には筋力を高める種目を行った後に行います。
これは最初に解説したPOF(ポジション・オブ・フレクション)が関係します。
POFに基づいたトレーニングでは、重量を扱えて筋力を高める効果の高いミッドレンジ種目(バーベルカール)を最初に行い、次にストレッチ種目(インクラインダンベルカール)、最後にコントラクト種目を行います。
なので、インクラインダンベルカールはバーベルカールやダンベルカールなど重量を扱える種目を行った後に行いましょう!
ミッドレンジ種目(バーベルカール)の次に行う
→ダンベルカールの効果的なやり方や重量・座って動作する違いを徹底解説
ダンベルカールの効果的なやり方や重量・座って動作する違いを徹底解説インクラインダンベルカールのよくある質問
最後にインクラインダンベルカールのよくある質問にまとめて回答していきます!
・ダンベルはどこまで上げれば良いですか?
・ベンチなしで行う方法はありますか?
・高重量で行なっても筋肥大しますか?
・肩が痛くなる場合はどうしたら良いですか?
・片手づつ行っても問題ありませんか?
軽い重量で高回数の方がいいですか?
筋トレ初心者
MASAKI
インクラインダンベルカールなどストレッチ種目の特徴として、筋肉への物理的刺激が高く、筋肥大効果が高いことが挙げられます。
この特徴から、ストレッチ種目では15〜20回できるような低重量で行なっても、種目の特徴と目的がズレてしまいます。
高回数行う目的としては、パンプアップを促して科学的刺激を得ることです。
なので、ストレッチ種目では8〜10回できる重量を選択して、筋肉への物理的刺激が加わるようにすることがおすすめです!
8〜10回できる重量が効果的
ダンベルはどこまで上げれば良いですか?
筋トレ初心者
MASAKI
ダンベルやバーベルを使用して行うフリーウエイト種目では、負荷が垂直にかかるので、前腕が垂直になったポジションでは上腕二頭筋から刺激が抜けてしまいます。
試しに前腕が床に対して垂直になるまで持ち上げてみてください。
上腕二頭筋が楽に感じるはずです。
前腕が床に対して垂直になる寸前まで上げる
ベンチなしで行う方法はありますか?
筋トレ初心者
MASAKI
自宅で筋トレを行なっている人や、市営ジムなどではインクラインベンチがそもそもない可能性があります。
しかし、インクラインベンチがなくても肩関節が進展しているポジションを作れれば問題ありません。
例えば、このように何かに掴まってインクラインベンチに座っているのと同じ角度を作ることで、片腕づつにはなりますが、ストレッチをかけることが可能です。
ストレッチポジションで負荷がかかる姿勢を作って行う
高重量で行っても筋肥大しますか?
筋トレ初心者
MASAKI
科学的なデータがある訳ではありませんが、インクラインダンベルカールを高重量(6回以下しかできない重さ)で行なっても筋肥大に繋がった実感があります。
ただし、基本的なフォームを習得してから行うことと、ストレッチ種目では筋断裂や関節の怪我のリスクが高いので、しっかりとウォーミングアップをして気をつけながら試してみてください。
MASAKI
フォームが出来ていれば高重量でも効果があるかも(経験)
肩が痛くなる場合はどうしたら良いですか?
筋トレ初心者
MASAKI
インクラインダンベルカールは肩関節が進展した状態で行うので、肩関節の負担が大きい種目です。
また、肩関節の柔軟性が低い人や、前肩の人(私も)、正しいフォームで行えていない人は怪我のリスクが高くなります。
すでに痛みがある場合は、無理に行うことはおすすめしません。
痛みのある原因として、多くの場合は間違ったフォームによるものなので、知識のあるトレーナーに一度フォームをチェックしてもらうことをおすすめします!
まずは休むこと!そして原因を見つけて改善!
片手づつ行っても問題ありませんか?
筋トレ初心者
MASAKI
インクラインダンベルカールをオルタネイト(片手づつ交互に)に行うメリットは次の通りです。
・回数が伸びる(個人差あり)
しかし、インクラインダ、ンベルカールの姿勢はバランスを取りづらく、片腕づつ行う種目としてはあまり適していません。
行える回数が伸びる可能性はありますが、バランスが崩れることにより使用重量は下がってしまうのであまりメリットがあるとは言えないでしょう。
メリットはあまりなく、片手づつの動作に適していない
インクラインダンベルカールで太い腕を手に入れよう
今回は上腕二頭筋の筋肥大効果の高いインクラインダンベルカールについてネットに存在しないレベルで徹底的にまとめました。
この記事を参考にインクラインダンベルカールを行えば、全く意識せずに行なった場合と比べて何倍も効く感覚を得ることができるはずです。
実践してためになったと感じた人は、ぜひこの記事を周りの筋トレ仲間にシェアして頂ければと思います!
みんなで最高の身体を目指しましょう!
→ダンベルカールの効果的なやり方や重量・座って動作する違いを徹底解説
ダンベルカールの効果的なやり方や重量・座って動作する違いを徹底解説