初めて筋トレ1年目の教科書をご覧になる方へ

STEP③:肩

 

まずは解剖学を知ろう

肩の三角筋はこの画像のように、前部・中部・後部の3つに分けて考える必要があり、それぞれ筋肉が働く作用も異なります。

三角筋の作用は次の通り。

・三角筋前部の作用=肩関節の屈曲・内旋
・三角筋中部の作用=肩関節の外転

・三角筋後部の作用=肩関節の伸展・外旋

分からなくても大丈夫です。

それぞれ重要なポイントは各種目の説明で解説していきます。

解剖学をザックリでも理解しておくことで「こう動かせば、この筋肉が動くな」とイメージできるようになるので、筋肉が付着している2点を簡単にでも頭に入れておきましょう。

三角筋への刺激を高めるテクニック

次に三角筋への刺激を高めるテクニックを網羅的に紹介していきます。

最初は意味が分からないかもしれませんし、全てのテクニックをいきなり取り入れるのは難しいはずなので、何度もこのプログラムを見返しながら1つずつトレーニングに取り入れてみてください。

①:肩甲骨

②:グリップ

③:握りの強弱

③:肋骨

①:肩甲骨

①:肩甲骨

・サイドレイズ=肩甲骨を固定し肩甲骨面で動作
・ショルダープレス=肩甲骨を固定
・リアレイズ=肩甲骨を開く

三角筋を鍛える上で、肩甲骨のコントロールは非常に大切です。

肩甲骨を自由にコントロールできなければ、三角筋ではなく僧帽筋上部や中部に効いてしまいやすくなります。

まず、サイドレイズでは僧帽筋上部に効かないように、肩甲骨を固定して肩を下げた状態で、肩甲骨面で動作します(サイドレイズの種目解説で詳しく紹介します)

こうすることで、怪我を防ぎつつ、僧帽筋上部の関与を抑えて三角筋中部を刺激できます。

次に、ショルダープレスでは下げたボトムポジションで肩甲骨が寄ってしまうと、負荷が僧帽筋上部に逃げてしまうので、肩甲骨を固定させて、動作範囲を限定させることが大切です。

リアレイズでは肩甲骨を開いたまま動作して、肩甲骨が寄ることで働く僧帽筋中部の関与を抑えることができます。

このように肩甲骨をコントロールできるようになれば、三角筋前部・中部・後部全てに効かせられるようになります。

②:グリップ

②:グリップ

・プレス種目=サムアラウンドorサムレス
・レイズ種目=サムアラウンド

次にグリップは基本的にはサムアラウンドです。

一部、手幅を狭くしたスミスフロントプレスなどでは、肘をしっかり閉じるためにサムレスグリップで行います。

また、サイドレイズではサムアラウンドで握り、手首には力を入れないようにするのがポイントです。

手首の力を抜くことで、肘をしっかり持ち上げやすくなります。

③:握りの強弱

③:握りの強弱

次に握りの強弱によっても、効きが変わってきます。

・プレス種目=基本は強く握らない
・サイドレイズ=トップで握りこむ

プレス種目で強く握りすぎてしまうと、上腕三頭筋の関与が大きくなるので、基本的には強く握りすぎずに動作します。

しかし、一部の軌道が安定しているマシンプレス種目では、押し込むポジティブ動作時に、親指人差し指を強く握ることで三角筋前部の収縮感を強くできます。

次に、サイドレイズでは中指薬指を中心に持つようにして、持ち上げたトップポジションで握りこみます。

こうすることで、最も負荷がかかるポジションで三角筋中部を強く収縮できます。

反動で上に放り投げるように持ち上げてしまうと、全く効きませんので、サイドレイズで効かせることに慣れるまでは、トップで一度動作を止めるように握り込んでみてください。

④:肋骨

④:肋骨

股関節の状態によっても三角筋への刺激が変わります。

特に関係するのは三角筋中部です。

息を吐き、腹筋に力を入れて、肋骨を締めた状態でサイドレイズを行うと、肩が上がってしまうことなく、効かせることができます。

反対に、息を吸って肋骨を広げるようにサイドレイズを行ってみてください。

肩が上がりやすく効かないはずです。

マシンリアレイズやダンベルリアレイズでも同様です。

基本的には肋骨をわざと開いて動作する種目はありません。

三角筋前部

バーベルショルダープレス

①:シートの角度を少し倒す

②:腰を反らないように足を閉じる

③:胸を張りすぎないようにする

④:鼻先まで下ろす(深く下ろしすぎない)

追加のテクニックは次の通り。

①:肩甲骨=固定
②:グリップ=サムアラウンド
③:握りの強弱=強く握りすぎない
④:肋骨=閉じる

スミスマシンで行うのもありですが、三角筋の筋力強化種目として、バーベルでのショルダープレスは是非とも行いたいです。

スミスマシンでフォームが安定してきたら、バーベルに挑戦します。

頭の後ろに下ろすバックプレスも効果的ですが、人によっては肩関節に痛みが生じる可能性があるので、肩に優しく高重量を扱いやすいフロントプレスがおすすめです。

身体が反りすぎないように注意して動作してください(高重量を扱いたい種目なので、完全に上体を立てなくても強い力を発揮できる角度でOK)

ダンベルショルダープレス

①:シートの角度を少し倒す

②:腰を反らないように足を閉じる

③:胸を張りすぎないようにする

④:肘は少しだけ前方で動かす

⑤:肘の真上でダンベルをコントロールする

追加のテクニックは次の通り。

①:肩甲骨=固定
②:グリップ=サムアラウンド
③:握りの強弱=強く握りすぎない
④:肋骨=閉じる

ダンベルショルダープレスは、ミリタリープレスやスミスフロントプレスと異なり、左右独立して動かすことができるので、より三角筋前部だけを使うフォームで行えます。

肩甲骨を固定して動作し、ダンベルは顔の横より下までおろさないようにします。

もし「フルレンジで動作するのが大切」という理由で、ダンベルが肩に当たるまで下げている場合は要注意です。

確かに動作範囲は広くなりますが、ボトムで肩甲骨が寄ってしまい、再度持ち上げる際に、寄った肩甲骨を戻す力が働き、僧帽筋上部に刺激が逃げてしまいます。

また、胸を張って高重量を扱いたくなりやすい種目なので、なるべく足幅を閉じて腹筋に力を入れ、大胸筋上部の関与を抑えて動作しましょう。

フロントレイズ

①:胸を張らずに肩を前に出す

②:上体を軽く前傾させる

③:肘のくぼみを上に向ける

追加のテクニックは次の通り。

①:肩甲骨=少しだけ開く
②:グリップ=サムアラウンド
③:握りの強弱=トップで親指人差し指を強く握る
④:肋骨=閉じる

肩甲骨を少しだけ開いて、肩を前に出すことで、大胸筋上部の関与を抑えて動作できます。

さらに、トップポジションで親指と人差し指を強く握ることで、三角筋前部を強く収縮させられます。

ダンベルフロントレイズでも、肋骨を閉じることで肩を下げて動作できるので試してみてください。

三角筋中部

サイドレイズ

①:広背筋に力を入れて軽く横に持ち上げる

②:手首の力を抜く

③:上体を軽く前傾させる

④:30°ほど前方に持ち上げる

⑤:肘のくぼみを正面に向ける

⑥:肘は伸ばしきらずに緩める

追加のテクニックは次の通り。

①:肩甲骨=固定
②:グリップ=サムアラウンド(手首を緩める)
③:握りの強弱=強く握りすぎない(トップで握る)
④:肋骨=閉じる

サイドレイズは効く人と効かない人が大きく分かれる種目の一つですが、上記の6つのポイントを守って動作すれば、かなりの確率で効かせられるようになります。

また、息を吐き、肋骨を閉じることで、肩甲骨が固定され、より三角筋中部だけを刺激できます。

解説している通り、手首には力を入れず、ダンベルを吊るすように持ち、グリップはトップで握りこむようにします。

最初は上手く効かせられなくても、何度も練習してフォームを固めれば必ずできるようになるので頑張ってみてください。

インクラインサイドレイズ

①:シートは45〜60°

②:肘を軽く曲げる

③:動作する側の腹斜筋を締める

④:完全に上がらなくても動作を続ける

追加のテクニックは次の通り。

①:肩甲骨=固定
②:グリップ=サムアラウンド
③:握りの強弱=強く握りすぎない(トップで握る)
④:肋骨=閉じる

インクラインサイドレイズは三角筋中部にストレッチ刺激を与えられる良い種目です。

片側づつ動作するので、集中的に効かせられるのも良いポイントです。

肩甲骨を固定させて、腹筋に力を入れて肋骨を締めたら、肘を軽く曲げて動作します。

脇の角度が90°になるまで持ち上げたら、それ以上持ち上げる必要はありません。

そして、完全に持ち上げられなくなっても動かなくなるまで動作を続けることも大切です。

なぜなら、ストレッチポジションで最も負荷がかかる種目なので、完全に持ち上げられなくても十分効かせられるからです。

重量にこだわる必要はないので、動画の動作テンポを参考に試してみてください。

ワンハンドサイドレイズ

①:動作しない側の手をベンチに置く

②:動作する側の足に重心を乗せる

③:負荷を乗せてから動作を始める

④:トップでグリップを握りこむ

追加のテクニックは次の通り。

①:肩甲骨=固定
②:グリップ=サムアラウンド
③:握りの強弱=強く握りすぎない(トップで握る)
④:肋骨=閉じる

紹介する中では少し難しい種目ですが、高重量を扱いやすく片方づつ集中して鍛えることができます。

動作する側の足に体重を乗せることで、通常のサイドレイズと比べて重心の位置が動作する側の肩に移ります。

こうなることで、高重量でも肩が上がらずに動作できるようになります。

グリップはトップで握りこむようにして、1回1回動作を区切って、負荷を乗せてからスタートしましょう。

ケーブルサイドレイズ

①:ケーブルを身体の後ろから通して持つ

②:動作する側に体をやや傾ける

③:手首の力を抜いて肘から持ち上げる

④:トップでグリップを握りこむ

追加のテクニックは次の通り。

①:肩甲骨=固定
②:グリップ=サムアラウンド
③:握りの強弱=強く握りすぎない(トップで握る)
④:肋骨=閉じる

この角度で行うことで、ストレッチ時でも刺激を与えられます。

ケーブルのサイドレイズで反動を使ってしまうと負荷が抜けやすいので、じわじわと負荷をかけるように動作します。

手首に力が入って手首が反ってしまうと、肘ではなく手が先行して上がってしまうので、手首の力を抜いて動作してください。

アップライトロウ

①:持ち上げた際に肘の角度が90度になる手幅で持つ

②:上腕をサイドレイズと同じ軌道で動かす

③:負荷を乗せてから動作を始める

④:トップでグリップを握りこむ

追加のテクニックは次の通り。

①:肩甲骨=固定
②:グリップ=サムアラウンド
③:握りの強弱=強く握りすぎない(トップで握る)
④:肋骨=閉じる

アップライトロウは高重量を扱ったチーティングサイドレイズのように、上腕をサイドレイズと同じ軌道で動かします。

バーを顎付近に持ち上げてしまうと、肘を後ろに引いた動作になり、肩の負担が強くなります。

なので、動画のようにバーは身体から離して前方に持ち上げて、手首の力を抜きつつ、トップでグリップは握り込みます。

初動で軽く肘を横に持ち上げてから動作を始めれば、高重量でチーティングを使っても効かせられます。

三角筋後部

ダンベルリアレイズ

①:上体を前傾させる

②:肩甲骨を開いたまま動作する

③:肘を持ち上げる

④:小指薬指を強く握る

追加のテクニックは次の通り。

①:肩甲骨=開く
②:グリップ=サムアラウンド
③:握りの強弱=強く握りすぎない(小指薬指を強く握る)
④:肋骨=閉じる

ダンベルリアレイズはコツさえ掴めば、この1種目で三角筋後部をしっかり鍛えられる良い種目です。

ダンベルを持って前傾したら、肩甲骨を開いた状態で肘を持ち上げます。

この際に肩甲骨が寄ってしまうと、僧帽筋中部に効いてしまうので、ダンベルの重さで自然に肩甲骨が開くようにするのがポイントです。

また、神経支配の関係から、小指薬指を強く握って動作すると、より三角筋後部を刺激できます。

マシンリアレイズ

①:グリップと肩の高さを同じにする

②:浅く座って上体を前傾させる

③:手首をまっすぐに持つ

④:上腕を内旋させる

追加のテクニックは次の通り。

①:肩甲骨=開く
②:グリップ=サムアップグリップ
③:握りの強弱=強く握りすぎない
④:肋骨=閉じる

マシンリアレイズもダンベルリアレイズと同様に、肩甲骨を開いた状態で動作します。

また、僧帽筋中部と三角筋後部の筋繊維の走行をズラすために、上体を前傾させて動作します。

難しいかもしれませんが、上体を前傾させることで僧帽筋中部が働きづらくなります。

握り方はサムアップグリップで、親指だけグリップの端に合わせて持ちます。

ライイングリアレイズ

①:フラットベンチに横になり動作しない腕を床につく

②:肘を肩の高さまで持ち上げて動作する

③:小指が天井を向く状態でストレッチさせる

追加のテクニックは次の通り。

①:肩甲骨=開く
②:グリップ=サムアラウンドグリップ
③:握りの強弱=強く握りすぎない
④:肋骨=閉じる

三角筋後部のストレッチ種目です。

三角筋後部をストレッチさせるためには、肩甲骨を固定した状態で腕を下ろす必要があるので、ストレッチ時に肩甲骨を広げてはいけません。

グリップを強く握らず緩めてストレッチさせていき、負荷が完全に抜けないところまで持ち上げます。

動作範囲が狭くなりがちな種目なので、大きく動かすようにしてください。

メニュー例

最後に三角筋の基本的なメニュー例は次のような感じです。

1:スミスフロントプレス=8〜10回✖️3set

2:ダンベルサイドレイズ=10〜15回✖️3set

3:インクラインサイドレイズ=8〜10回✖️3set

4:ダンベルリアレイズ=10〜15回✖️3set

これはあくまで一例です。

基本的には前半に三角筋前部を鍛えて、その後は肥大させたい部位から優先的に行うようにします。

私の場合は上記のメニューが基本になりますが、後部を強化したい時は前部を行った後に後部を行い、最後に中部としています。